紀伊山地の霊場と参詣道 日本の世界遺産

紀伊山地は世界遺産リストに「紀伊山地の霊場と参詣道」という名前で登録されています。紀伊山地の文化的景観を形づくる遺跡群は、神道と仏教が融合した独特の景観を持っています。これは紀伊山地の深い山々に残る自然と数々の寺院、神社などから見て取れます。紀伊山地の神社と寺院、そしてそれらに関連する儀式は日本の1000年以上の宗教文化の発展を証明する特別なものです。紀伊山地の霊場と参詣道の遺産価値は「自然と宗教が融合した独特な景観」です。

法隆寺地域の仏教建造物群 日本の世界遺産

法隆寺は推古天皇と聖徳太子により607年に建立された斑鳩寺を起源としたお寺で、世界遺産リストに「法隆寺地域の仏教建造物群」という名前で登録されています。法隆寺地域の仏教建造物群の遺産価値は「世界最古の仏教の木造建造物であること」です。法隆寺にはその後の建築様式には見られない独特な特徴が見られます。これは飛鳥時代の特徴、ひいては伝来元である中国の北魏時代の特徴でもあります。特にエンタシスの柱、雲形組物の2つは有名です。また2つの貴重な古代の建築様式が見られるだけでなく、その建築様式がどのように変わってきたのか、その様子を見ることもできます。法隆寺地域の仏教建造物群の構成資産は大きく法隆寺と法起寺に分けられ、法隆寺は大きく西院、東院に分けられており、古いものでは7世紀、新しいものでは18世紀に及ぶまで1000年以上にわたって建造された仏教建築物が並んでいます。法起寺は聖徳太子の遺言に従い、聖徳太子の子・山背大兄王によって建てられました。法起寺は1500年代末(16世紀末)に三重塔以外が焼失してしまいます。その後、17世紀以降に講堂などが再建され、現在の形になりました。そのため、創建当時の姿を残すのは三重塔のみとなっています。

古都奈良の文化財 日本の世界遺産

奈良は世界遺産リストに「古都奈良の文化財」という名前で登録されています。世界遺産リストに登録されるためには、「世界遺産条約履行のための作業指針」に示される登録基準の内、少なくとも1つ以上の基準に合致する必要があります。奈良の寺院の多くは8世紀に中国や朝鮮から伝えられた建築技術をもとに日本で発展したものです。これらは中国大陸・朝鮮半島と日本の技術・文化の交流があったことを示しています。また、構成資産には奈良時代の「和様」の建築文化に加え、「大仏様」なる新たな建築文化も見られ、日本建築の発展の様子が見て取れます。古都奈良の構成資産は古代の都の様子を現代に伝える非常に珍しい資産です。とりわけ平城宮跡は平安京より古いものであるにもかかわらず、都市開発の影響を受けなかったため保存状態が良く、この時代の文化を示す重要かつ貴重な証拠となっています。また、木簡などの文学的な遺物なども発見されており、考古学的価値も高い資産です。また構成資産は古代の建築や都市設計をよく示しています。また平城京のあった710~784年頃の建築物は中国や朝鮮にも残っておらず、日本だけでなく初期アジアの建築様式、都市設計を表す証拠として極めて珍しいものとなっています。さらに日本の神道、仏教といった宗教と密接に結びついています。特に春日大社とその神域である春日山原始林との関係は、自然を神格化しようとする日本独自の神道思想をよく表しています。また、奈良では宗教儀式や行事が現在でも多く残っており、文化として根付いています。これらにより古都奈良の文化財は登録基準ⅱ、ⅲ、ⅳ、ⅵを満たし、世界遺産リストに登録されました。

古都京都の文化財 日本の世界遺産

京都は世界遺産リストに「古都京都の文化財」という名前で登録されています。古都京都の文化財の遺産価値は「17件の構成資産(賀茂別雷神社(賀茂神社)、賀茂御祖神社(下鴨神社)、教王護国寺(東寺)、清水寺、延暦寺(比叡山延暦寺)、醍醐寺、仁和寺、平等院、宇治上神社、高山寺、西芳寺(苔寺)、天龍寺、鹿苑寺(金閣寺)、慈照寺(銀閣寺)、龍安寺、本願寺(西本願寺)、 二条城)が日本文化の歴史をよく伝えていること」です。京都には794年平安京遷都から1867年大政奉還までの1000年以上もの間、日本の首都であり続けたという歴史があります。日本では時代の変遷に伴い様々な文化が生まれてきましたが、首都である京都はその文化の創出・発展に大きな役割を果たしてきました。それを示すように京都には各文化の特徴を反映した木造建築、宗教建築、庭園などが数多く存在します。これらの建造物はその歴史と発展過程をよく表しています。また日本の建造物は壊れやすい木造建築が主体ですが、その保存状態の良さも高く評価されています。建造物自体は天災や戦乱などにより焼失してしまったものもありますが、伽藍配置などは当時の様子を再現して復興してあり、各時代における建築様式や庭園様式といった日本文化の特徴を現代によく伝えています。

白川郷・五箇山の合掌造り集落 日本の世界遺産

白川郷・五箇山の合掌造り集落の遺産価値は「山間部の環境に適応した独特で合理的な集落であること」です。山間部の環境というのは、雪や雨が多いこと、農地が少ないことなどが挙げられます。こういった環境に適応した合理的な形が合掌造り集落です。農地が少なく、厳しい自然環境だったことにより、火薬の原料となる塩硝の生産、和紙漉き、養蚕などの家内工業が発達しました。結果として、合掌造りは(1) 大家族が暮らし、家内工業を行うために他の地方の農家に比べて規模が大きい(2) 雪はけ、水はけの良い45~60°程の急勾配の傾斜を持つ茅葺き屋根(3) 屋根裏スペース確保のための叉首構造の切妻造り屋根、のような特徴を持つことになります。

富士山 信仰の対象と芸術の源泉 日本の世界遺産

日本の世界遺産観光地である富士山の遺産価値は「日本という国・文化の象徴となっていること」です。富士山はその均整の取れた美しい形状と噴火の恐ろしさから、人々に畏敬されてきました。その畏敬は日本古来の山岳信仰と結びつくことで、富士山=浅間大神という形で人々に浸透し、様々な形で信仰の対象になりました。この富士山信仰は紀元前から現在まで続く日本独特の文化です。人々に恐れられていた富士山ですが、その美しさは芸術・文学作品の対象として人々を魅了してもいます。万葉集にも作品が載っていることから、いかに古くから富士山が芸術の源泉となってきたかが伺えます。19世紀に描かれた浮世絵は日本だけでなく海外の画家にも衝撃を与え西洋美術にまで影響を及ぼしました

富岡製糸場と絹産業遺跡群 日本の世界遺産

富岡製糸場と絹産業遺跡群の遺産価値は「生糸産業の技術革新の歴史を今に伝えていること」です。19世紀末から20世紀にかけての日本の生糸産業の発展は近代社会の中での大きな成功例と言えるでしょう。それまで生産量の限られていた生糸の大量生産を可能にし、日本の生糸の生産量・輸出量は世界一となりました。その後も生産量を伸ばしつつ、粗悪品が多かった日本の生糸の品質を世界最高級の品質にまで高めました。こうして生糸産業の技術革新は日本近代化の礎となりました。富岡製糸場と絹産業遺跡群はこうした生糸の良質化・大量生産化を可能にした技術革新の中心となった建造物群です。構成資産は富岡製糸場、田島弥平旧宅(たじまやへいきゅうたく)、高山社跡(たかやましゃあと)、荒船風穴(あらふねふうけつ)の4つです。

日光の社寺 日光東照宮・二荒山神社・輪王寺 日本の世界遺産

日光の社寺の構成資産は東照宮、二荒山神社、輪王寺の二社一寺に属する103棟です。明治時代の神仏分離令によって分けられたもので東照宮は徳川家康を神格化した「東照大権現」を祀る神社です。敷地内には55棟の建造物がありますが、世界遺産に登録されているのは42棟です。建築的な特徴としては、東照宮本社は近世日本の神社建築の完成形とされる「権現造り」という建築様式が採られています。二荒山神社は 大己貴命、田心姫命、味耜高彦根命を祀る神社です。この三神は男体山、女峰山、太郎山の神とされています。 輪王寺は千手観音、阿弥陀如来、馬頭観音が祀られているお寺です。仏教系の建造物群の総称で60棟あまりの建造物があり、38棟が世界遺産に登録されています。

平泉 中尊寺・金色堂・毛越寺・観自在王院跡・無量光院跡・金鶏山 日本の世界遺産

平泉は世界遺産リストに「平泉―仏国土(浄土)を表す建築・庭園及び考古学的遺跡群―」という名前で登録されています。平泉の遺産価値は「浄土思想を基にした平和政治を実現させた街であること」「日本独自の建築・庭園設計が表現されていること」です。11世紀~12世紀にかけて、東北地方の領主・藤原清衡により、浄土思想を基にした理想世界の実現を目指して造られた街で、浄土思想とは、人々が現世及び死後の心の平和を願った考え方です。それらを現実世界に実現するために、日本では寺院などの建築・庭園設計により浄土を現世に創り上げるという独自の方法が編み出されました。中尊寺・毛越寺・観自在王院跡・無量光院跡・金鶏山はそれ自体が仏国土を表現する庭園を備えています。

世界遺産について 成り立ち、決め方、決定機関、危機遺産など

世界遺産は現在、世界167ヵ国に1073件もの数が登録されています(2017年7月時点)。その数は今も増加しており、年間約20~30件ほどのペースで新たな世界遺産が登録され続けています。日本でも2017年には「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群が新たに登録されたばかりです。しかし、そもそも世界遺産とは一体どういうものなのでしょうか?こちらでは知っているようで意外と知らない世界遺産について、「世界遺産とは何なのか?」「世界遺産はどうやって決まるのか?」といった視点から紹介していきたいと思います。