奈良一覧

古都奈良の文化財 日本の世界遺産

奈良は世界遺産リストに「古都奈良の文化財」という名前で登録されています。世界遺産リストに登録されるためには、「世界遺産条約履行のための作業指針」に示される登録基準の内、少なくとも1つ以上の基準に合致する必要があります。奈良の寺院の多くは8世紀に中国や朝鮮から伝えられた建築技術をもとに日本で発展したものです。これらは中国大陸・朝鮮半島と日本の技術・文化の交流があったことを示しています。また、構成資産には奈良時代の「和様」の建築文化に加え、「大仏様」なる新たな建築文化も見られ、日本建築の発展の様子が見て取れます。古都奈良の構成資産は古代の都の様子を現代に伝える非常に珍しい資産です。とりわけ平城宮跡は平安京より古いものであるにもかかわらず、都市開発の影響を受けなかったため保存状態が良く、この時代の文化を示す重要かつ貴重な証拠となっています。また、木簡などの文学的な遺物なども発見されており、考古学的価値も高い資産です。また構成資産は古代の建築や都市設計をよく示しています。また平城京のあった710~784年頃の建築物は中国や朝鮮にも残っておらず、日本だけでなく初期アジアの建築様式、都市設計を表す証拠として極めて珍しいものとなっています。さらに日本の神道、仏教といった宗教と密接に結びついています。特に春日大社とその神域である春日山原始林との関係は、自然を神格化しようとする日本独自の神道思想をよく表しています。また、奈良では宗教儀式や行事が現在でも多く残っており、文化として根付いています。これらにより古都奈良の文化財は登録基準ⅱ、ⅲ、ⅳ、ⅵを満たし、世界遺産リストに登録されました。